Cherry MX互換スイッチレビュー

テスターを色々買ったりして、自作キーボード向けのスイッチの知見がたまってきたので個人的な好みを書いておきます

最初に結論

Tactileスイッチは ZealiosSpeed Copper。Clickyは Box White がおすすめ

レビューできていないもの

特にCherry MX系にしぼるつもりはなかったんですが、自然とそうなった。

結構対象を絞ってます。Linearスイッチはあまり使おうと思ったことがないので対象外(いいスイッチに出会えていないだけかもしれない)。vintage系は購入もメンテナンスも大変そうでやっていないので外しています

Matiasはkeycapで遊べないことが致命的なので試してない。MX用のkeycapをmountできるようにするNexus Sliderが評判よかったら考えないといけないかも。Matiasが直接MX keycap互換のスイッチ出して欲しさがある。

Topreスイッチはとても好きなんですが、自作のハードルは高い。Realforceバラシて使う修羅の道っぽいやつも最近はあるみたいですがそこまでつわものではないです https://github.com/tomsmalley/custom-topre-guide

レビューのやり方について

感覚的なことを書いています

数値的なことについてはInput Clubの人の完璧なグラフがあるのでそちらを見るといいですよ。テスタを触りながらグラフを眺めていると感覚とグラフがだんだんリンクできるようになる

plot.ly

Tactile

押した感触、押し下げていくなかで加重に山(peak)があるスイッチで、カチカチクリック音がしないやつのことを言う。

最近は静音系も増えてきたんですがあんまり興味がないので触ってない。もともとtactileはclickyとか軽いlinearと比べるとそんなにうるさくない…よね?

Cherry MX Brown(茶軸)

一番ポピュラーではないかという茶軸。軽いのは好きなんですがTactileが弱いのとTactileの山の始まりが遅いのがあり、今となってはそこまで好みではない

Cherry MX Clear

Tactile強い。スコスコしている。なめらかではない。重め。この重さがいける人ならかなりいいやつだと思います

KBDfans Aliaz 60g, 70g

Zealiosと同じGateronが製造しているkeyboard enthusiast向けスイッチ。Zealiosと同じ透明度の高いハウジングを採用していてきれい。静音スイッチで底打ちと天井打ち(とは言わない気がする。なんていうんだろ)の音を軽減するためにシリコンが入っていて実際静か

打った心地はちょっとmushy (キーボード用語であまり気持ちよくないゴム感のこと)なのと、Tactileが弱い感じ。個人的に特に厳しかったのが、Tactileイベントの一貫性がないことで1回の上下で5〜6回起きているような気持ちになる。押すときは、top housingとシリコンが離れるところ→本来のTactile→bottomとシリコンがつく→完全に押し下げたところ、みたいな感じ。離すときは、bottomとシリコンが離れるところ→本来のTactile→topとシリコンがつくところ→上がりきったところ、みたいな

Topreと似ているというコメントを見かけたけど個人的には似ていないです。こいつに限らずいろんなTactileスイッチがTopreと似ているっていう言葉を言われがちで誤解を招くのでTopreっぽいという表現は避けたい。オリジナリティのある良さを感じよう

Kailh Pro Purple

結構なめらかで悪くないかなっていうスイッチです。Tactileは弱い。見た目はZealiosと似ていますが特性はかなり違います

Kailh Box Brown

CherryのBrownより重め。TactileもCherryのBrownよりは強いけどあんまり強くない。なめらかさは良い。Box Switch特有の生のバネ感(表現が難しい)がある

Kailh Box Burnt Orange

色がRedにしか見えないBurnt Orangeさん。Box Brownを重くしたやつで重くしたことでバランスが良くなっているけど重い。

Kailh Speed Copper

押した瞬間からTactileの山が感じられるおもしろいスイッチ。Kailhの中では一番Tactileもあり、Speedスイッチというだけあってactuation pointが高いためかなりオリジナリティーのあるスイッチになっています。かなり好き。

欠点としてはバネが重くTactileが0mmから始まるので指が触れた瞬間から固く、突き指かよっていう。また指を離した際の跳ね上がりが強く、stemとtop housingと当たったときの衝撃 / 音がデカい。

ZealPC Zealios 65g

Cherry MX Clearを軽く、なめらかにしたスイッチ。Brownよりは少し重いかも。すごく良くて現在も愛用しているがもうちょっと軽くてもいいかなと思うのと、お値段がすごい。とても高い1個$0.75〜0.88くらいするのでキーボード一つ作るのにスイッチだけで五千円とか一万円とかが飛んでいく。

Clicky

会社や家族の前で使えないタイプのスイッチです。

Clickyに関しては比較的最近出てきたKailhのclick barがめっちゃいい

音が圧倒的に心地よいのとスイッチから離す(上にあげる)ときも音がするので連打がやりやすい

金属の安全ピンみたいなバネでstemに抵抗をかけるタイプで、これと比較して旧来のプラスチックどうしでクリック音出すやつはclick jacketなどと呼ばれるようになった

Cherry MX Blue(青軸)

Clickyで一番有名な青軸。音があまり心地よくないのとバネの重さの割にTactile Peakが割と固い(stiff)という特徴があります

テスタなどで2-4mmの押し込みらへんをずっと触っているとギシギシする

Cherry MX Green(緑軸)

バネが重くなった分、相対的にTactile Peakの固さが軽減されている(絶対的な荷重は増えてます)

Cherry MX White(白軸)

緑軸のクリックが穏やかになったやつ。レアキャラ

Gateron Blue

Cherryと比べてstiffさは軽減されている

普通に使ってると関係ないけど、ギシギシはひどくなっている

Kailh Speed Gold

Cherry MX Blueと比較してactuation pointはだいぶ高くなり、Tactile Peak軽いけどしっかりしていて、バネははっきり軽くなっていて、click jacket特有の音が嫌いでなければSnappyで楽しい。

Speed Switchは一応ゲーム用のはずなんですがそんなに連打しやすくないのでゲームには向かないような。JIS / ISO Enterをッターンとやりたい人に向いている。

Kailh Speed Bronze

ここからclick bar搭載スイッチになります

Bronzeはactuation point高め、バネ重め、Tactile小さめの正統派にゲーム用スイッチで高速入力ができそう

Copperと色も名前も似ているのでよく間違える

Kailh Box White

click barで一番王道っぽい製品。バネ軽め。Tactile小さめ(Bronzeよりは感じる)です

それでもすごくいい音鳴らすので普段使いするならこれがいいんじゃないでしょうか

Kailh Box Pale Blue

Box Whiteのバネを重くしたやつ。Bronzeのactuation pointが降りてきたような触り心地になる

Kailh Box Jade

Box Whiteのclick barを強くしたやつ。Tactileめっちゃ強い。ガチャガチャ入力できます

テスタしか触ってないのであれなんですがネットでは戻りが遅い場合があるという報告もちらほらある。バネが軽くてclickの抵抗が強いとそうなっちゃうかなという気はします

音はWhiteよりも大きく、意外にもclick barの中ではそこまでいい音ではない

Kailh Box Navy

バネもclick barも一番重いやつ。指の筋力が有り余ってる人向けです。めっちゃいい音がするが普段使いすると腱鞘炎まっしぐらな気がする。

フィジェットなおもちゃとかに使う場合はこれが一番楽しそう

余談

最近Clickyはclickが聞こえないとTactileがガクッと減るという衝撃の事実を発見してしまった。騒音がひどい場所で使ったりヘッドホンやイヤホンで音楽かけたりノイキャンを使いながら触るのであればTactileの方がいいかも。Clickyはあくまでそのクリック音を耳で楽しむためのものなんだと実感させられる